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第13章 おでんデート
「じゃあ、あとイッコだけ。コンパに行ったのはさ、前の彼氏とは別れたってこと?」

「へっ」

「ほら、...泊まりに来た彼氏」

ひょっとして、千夏と貴之が泊まりに来た日の事だろうか。

答えに困っていると、段々リョウの眉間のしわが深くなってゆく。

「まさか二股?」

「...ああ。...えーっと。別れたことになる...かな」

「いつ?」

「...ん?えーっと、随分前」

「2週間前は車で出かけてたよね」

ん???2週間前???
あ、内山さんが車で送ってくれた時のことだろうか。

リョウの中で同一人物になっているのだろう。

「その頃かな...」

「...そう」


沈黙が続く。

「ごめん。俺すげーダセェ。嫉妬しまくり」

顔を背けて、稜からは表情が見えない。
つないだ手が強く握られているのを、感じる。

稜の胸が締め付けられる。

ごめんね。泊まったのは嘘彼氏とその奥さんだし、車の人はデートはしたけどお付き合いしてないし。嘘だらけなんだけど、説明するのも何だし...。


「...でも、もう別れたんだよね」

しつこいぐらい確認してくる。

「うん」

「わかった」

切り替えたのか、リョウは顔を正面に戻した。


「じゃあさ、高崎さんは俺に質問ない?」

「質問?」

「うん。何でも答えるよ」

何を聞こう。知りたいことは山のようにある。

「生まれた時から順番に話そうか?」

にやりと笑ってる。

「俺が生まれたのはー、2月の21日でー、めちゃめちゃ難産でー」

「ちょっと本当に全部話すの?」

「うん。質問がナイなら。俺の事知ってもらいたいし」

「それって長くない?」

「長いだろうね。2日ぐらいはかかると思うよ」

そう言っていたずらっ子のようににんまりと笑った。

「ほらほら。質問、質問。なかったら続けますー」

「あ、えっ。えーっと」

「ちっちっちっち...」

めちゃくちゃ笑顔で迫ってくる。

「...えっと、その、...サキさん、とは?別れたの?」

その質問に笑顔がさっと消える。また顔が正面を向く。

「別れた。もう1ヶ月以上になる」

1ヶ月??それって、あの激しかったあの頃?
あんなに激しく求めあっていたのに??
喘ぎ声が聞こえなくなったのは別れてたから???
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