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NEXT 【完結】
第13章 おでんデート
「...今朝は、ごめん」

「えっ」

少しの沈黙の後、リョウが謝り始めた。

「あの時俺起きてて、その、高崎さんがあんな時間に玄関出る音がして、慌てて追いかけたんだ」

あんなに言っていたのに、リョウも少しブランコを足で揺らしている。

「今一歩でエレベーター間に合わなくて、階段で追いかけたんだけど、マンション出たらもう姿なくて、焦って周りを少し探したんだ」

「そんな...」

「だってまだ真っ暗だったし。最近物騒じゃん。なんか心配で」

リョウの優しい顔が、稜を覗きこむ。

「そしたら、おでん片手にノンキに帰ってくるし」

それで薄着で駆けつけて、へたり込んでいたんだ。
それって...。

「勝手に俺が心配してるだけってるのはわかってる。でも、それだけ、俺は高崎さんが好きなんだ」


何か今またさらっと凄いこと言われなかった???

「高崎さんが俺の事、男として見てくれてないのはわかってた」

「...はい??」

ここではじめて稜は声が出る。

「だって、あの時も“おでん一緒に食べる?”って軽いノリで」

なんだか思い出してまた拗ねている。

「あれ聞いて、チョーームカついて」

「...なんで?」

「え!?俺を家に上げてくれるってことでしょ?まるで近所のガキんちょとかにおやつあげる感覚じゃん?」

そんなつもりはなかったけど...。気まずくて、とっさに出た言葉だったし。

「無意識なのが余計に腹立って。俺って男として見られてないんだなって」

しんみり寒空を見上げながら、リョウは話すというよりつぶやいている。


「だから、さ。ちょっと男として意識して欲しくて。その、今日は誘ってみました」

少し照れたようにして、稜の顔を伺っている。

「聞きたいこともいっぱいあったし。...で、こっから質問ね」



「コンパの人と、昨日デートだったでしょ」

「!」

「どうだったの」

「...どうって。海にドライブしただけ」

「ホント?」

「うん。...二日酔いで、気分悪くて早く帰ってきちゃったし」

嬉しそうに吹き出して笑ってる。

「ダメじゃん」

「コンパが久しぶりで緊張しててつい飲みすぎちゃったんだもん」

「じゃあ、まだカレカノじゃないね?」

「...うん」


リョウは、向かいの滑り台のほうを向いて微笑んでいる。
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