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NEXT 【完結】
第4章 夢

「すまんなぁ。ワシゃ、さっき甥っ子から聞いたんだわ。
この度は本当に申し訳ないことをした」
実にすまなそうに、山本さんが頭を下げる。
先日の見合いもどきの紹介をしたのが、山本さんである。
「そんなことになっとるとは夢にも思ってなかってなぁ。ワシャ、てっきり上手くいっとると思ってたんだわ。あいつも、それならそうとワシに早く言ってくれれば、高崎さんに紹介もしなかったのに...。本当にすまんなぁ」
山本さんは、60代のベテラン営業マンで、やわらかい物腰と打ち解けやすい話し方でお客様から人気がある。押し付けがましく営業をすることなく、それがかえって心をつかむ。
そんな山本さんの紹介だったので、稜もお見合いもどきをすることにしたのだが。
「気にしないで下さい。ご縁のものですから」
そう言って稜は微笑んだが、その笑顔が余計山本さんには堪える。
稜としても、他に言いようがない。
まだ謝る山本さんから「急ぎの仕事があるので」と自分のデスクに戻る。
案の定、“大局”の数子さんが、不穏な空気を察してやってきたが、本当に仕事が忙しかった稜はなんとか誤魔化す。
月曜日は、本当に忙しいのだ。
数子さんも同じように忙しいお陰で、その後はやってこなかった。
この度は本当に申し訳ないことをした」
実にすまなそうに、山本さんが頭を下げる。
先日の見合いもどきの紹介をしたのが、山本さんである。
「そんなことになっとるとは夢にも思ってなかってなぁ。ワシャ、てっきり上手くいっとると思ってたんだわ。あいつも、それならそうとワシに早く言ってくれれば、高崎さんに紹介もしなかったのに...。本当にすまんなぁ」
山本さんは、60代のベテラン営業マンで、やわらかい物腰と打ち解けやすい話し方でお客様から人気がある。押し付けがましく営業をすることなく、それがかえって心をつかむ。
そんな山本さんの紹介だったので、稜もお見合いもどきをすることにしたのだが。
「気にしないで下さい。ご縁のものですから」
そう言って稜は微笑んだが、その笑顔が余計山本さんには堪える。
稜としても、他に言いようがない。
まだ謝る山本さんから「急ぎの仕事があるので」と自分のデスクに戻る。
案の定、“大局”の数子さんが、不穏な空気を察してやってきたが、本当に仕事が忙しかった稜はなんとか誤魔化す。
月曜日は、本当に忙しいのだ。
数子さんも同じように忙しいお陰で、その後はやってこなかった。

