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NEXT 【完結】
第31章 相談

「じゃ、俺、シャワー浴びてくるね」
そう言って離れようとする羚汰を、立ち上がって後ろから抱きしめる。
「...羚汰」
「ん?」
「話が...あるの」
稜のその言葉を予想でもしていたのか、驚いた様子はなかった。
「...何?」
「大好き。羚汰が好き」
「...うん」
「今朝はごめんね。本当は、その時に言わなきゃいけなかったんだけど。怖かった」
羚汰の指が、体に巻き付く稜の指に絡ませ、ゆっくり体から解いてゆく。
ゆっくり振り返り、稜を抱き抱えるようにして2人で毛布にくるまり、ソファーに座りなおす。
「羚汰...」
羚汰の手が、ゆっくり頭を撫でてゆく。
「ゆっくりでいいよ」
羚汰の優しさが、稜の胸を益々締め付ける。
しばらく無言のまま羚汰に抱きしめられている。
温かいぬくもりとあの匂いが、稜の締め付けた心を落ち着かせてゆく。
「...あのね。もう4年前ぐらいになるんだけど、当時の彼氏を実家に連れて行ったことがあるの」
「ん...」
「前に話したことあったかな?その彼はバツイチだったんだけど、私は気にしてなかった。でも両親はすごく嫌だったみたいで...」
当時26歳の娘が、初めて交際相手を実家に連れて帰った。
両親も初めてのことだったので、緊張しつつもにこやかに出迎えてくれた。
しかし、彼がバツイチで子どもがいるとわかった途端、泣いて反対してきた。
子どもは奥さんに引き取られていたとはいえ、2人分の養育費を払い続けていた彼を、両親は認めなかった。
離婚理由も両親が認めなかった原因の一つだ。
どちらかの不貞やDVではなく。
『なんとなく価値観が違うかな』という理由で、当時3歳と1歳の子がいる奥さんと別れたのだ。
両親としたら、娘が結婚したとして『なんとなく価値観が違うかな』という理由で別れられたらたまらないと思ったらしい。
「そんなことにはならない」と稜が言い張ったのだが、聞き入れてもらえるはずもなく。
その日は散々な食事会になり、その後も両親は何かにつけて別れるように稜を諭しにかかった。
稜は、そんな両親に反発して実家には一切寄らなかった。
それが理由というわけではないが、その後1年も経たずして別れることとなる。
そう言って離れようとする羚汰を、立ち上がって後ろから抱きしめる。
「...羚汰」
「ん?」
「話が...あるの」
稜のその言葉を予想でもしていたのか、驚いた様子はなかった。
「...何?」
「大好き。羚汰が好き」
「...うん」
「今朝はごめんね。本当は、その時に言わなきゃいけなかったんだけど。怖かった」
羚汰の指が、体に巻き付く稜の指に絡ませ、ゆっくり体から解いてゆく。
ゆっくり振り返り、稜を抱き抱えるようにして2人で毛布にくるまり、ソファーに座りなおす。
「羚汰...」
羚汰の手が、ゆっくり頭を撫でてゆく。
「ゆっくりでいいよ」
羚汰の優しさが、稜の胸を益々締め付ける。
しばらく無言のまま羚汰に抱きしめられている。
温かいぬくもりとあの匂いが、稜の締め付けた心を落ち着かせてゆく。
「...あのね。もう4年前ぐらいになるんだけど、当時の彼氏を実家に連れて行ったことがあるの」
「ん...」
「前に話したことあったかな?その彼はバツイチだったんだけど、私は気にしてなかった。でも両親はすごく嫌だったみたいで...」
当時26歳の娘が、初めて交際相手を実家に連れて帰った。
両親も初めてのことだったので、緊張しつつもにこやかに出迎えてくれた。
しかし、彼がバツイチで子どもがいるとわかった途端、泣いて反対してきた。
子どもは奥さんに引き取られていたとはいえ、2人分の養育費を払い続けていた彼を、両親は認めなかった。
離婚理由も両親が認めなかった原因の一つだ。
どちらかの不貞やDVではなく。
『なんとなく価値観が違うかな』という理由で、当時3歳と1歳の子がいる奥さんと別れたのだ。
両親としたら、娘が結婚したとして『なんとなく価値観が違うかな』という理由で別れられたらたまらないと思ったらしい。
「そんなことにはならない」と稜が言い張ったのだが、聞き入れてもらえるはずもなく。
その日は散々な食事会になり、その後も両親は何かにつけて別れるように稜を諭しにかかった。
稜は、そんな両親に反発して実家には一切寄らなかった。
それが理由というわけではないが、その後1年も経たずして別れることとなる。

