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NEXT 【完結】
第60章 Downstairs

3月も最終週になったある日、下の階の601に引越しがあった。
引越し自体は、平日の昼間にでもあったのだろう。
稜が仕事から帰った時に、電気屋が家電を運び入れているのとエレベーターで鉢合わせして、なんとなくわかった。
この時期他の階でも出たり入ったりしてるけど、どの部屋かなーとなんとなく聞き耳を立てていると、業者が601がどうのと話していたので間違いない。
覚悟はしていたが、とうとう下の階に住人がやってきた。
なんだか少し緊張めいたものをしてしまう。
部屋に戻ると、下の階は家族でもきて片付けを行っているのか、結構賑やかだ。
はっきりとした声や音は聞こえないが、時折笑い声が響いてくる。
入居者のお父さんなのか、威勢のいいクシャミの声もする。
向こうの音が聞こえるということは、こちらの音もそれだけ聞こえるということだ。
それでもそんな音も9時近くになると、ほとんどしなくなった。
近所迷惑になると判断したのだろう。
常識ある入居者なのだ。
安心するとともに、本当にこちらの音を気を付けなければと身が引き締まる。
その日は、連日の仕事疲れと月のモノとが相まって稜は早く布団に入った。
羚汰はいつもの終電で帰ってきたらしい。
なんとなくリビングで、気配を感じて布団から起き出す。
ドアを開けようとしたら、風呂上りの羚汰とドアを同時に掴んだらしい。
「!!」
「うわっ、びっくりした〜」
「しーーっ。羚汰、声っ」
驚いた声を普通に上げる羚汰に慌てる。
連絡しといたので、知っているはずだ。
「大袈裟だなぁ。こんぐらいは普通じゃね?」
羚汰が笑って布団に入る。
「だってー」
隣の時とは多少違うかもしれないが、音に関しては稜のほうがよく知っている。
聞かされた方が、どのような気持ちになるのかも。
なんとなくそれは言いにくくて、今日は家族で来ているっぽいのを伝える。
「広いから、そりゃ両親来ても泊まれるわなぁ」
もう随分前にはなるが、稜が一人暮らしを始めた時も、母親が泊まったことを思い出す。
「羚汰の時は?家族来た?」
「ウチは遠かったから、両親は来てないな。でも、ねーちゃんが姪っ子と来た。熱帯魚持って」
熱帯魚と水槽は、お姉さん家族の預かりものだと言っていたのを思い出す。
「そっかー。とうとう引越して来たかー」
引越し自体は、平日の昼間にでもあったのだろう。
稜が仕事から帰った時に、電気屋が家電を運び入れているのとエレベーターで鉢合わせして、なんとなくわかった。
この時期他の階でも出たり入ったりしてるけど、どの部屋かなーとなんとなく聞き耳を立てていると、業者が601がどうのと話していたので間違いない。
覚悟はしていたが、とうとう下の階に住人がやってきた。
なんだか少し緊張めいたものをしてしまう。
部屋に戻ると、下の階は家族でもきて片付けを行っているのか、結構賑やかだ。
はっきりとした声や音は聞こえないが、時折笑い声が響いてくる。
入居者のお父さんなのか、威勢のいいクシャミの声もする。
向こうの音が聞こえるということは、こちらの音もそれだけ聞こえるということだ。
それでもそんな音も9時近くになると、ほとんどしなくなった。
近所迷惑になると判断したのだろう。
常識ある入居者なのだ。
安心するとともに、本当にこちらの音を気を付けなければと身が引き締まる。
その日は、連日の仕事疲れと月のモノとが相まって稜は早く布団に入った。
羚汰はいつもの終電で帰ってきたらしい。
なんとなくリビングで、気配を感じて布団から起き出す。
ドアを開けようとしたら、風呂上りの羚汰とドアを同時に掴んだらしい。
「!!」
「うわっ、びっくりした〜」
「しーーっ。羚汰、声っ」
驚いた声を普通に上げる羚汰に慌てる。
連絡しといたので、知っているはずだ。
「大袈裟だなぁ。こんぐらいは普通じゃね?」
羚汰が笑って布団に入る。
「だってー」
隣の時とは多少違うかもしれないが、音に関しては稜のほうがよく知っている。
聞かされた方が、どのような気持ちになるのかも。
なんとなくそれは言いにくくて、今日は家族で来ているっぽいのを伝える。
「広いから、そりゃ両親来ても泊まれるわなぁ」
もう随分前にはなるが、稜が一人暮らしを始めた時も、母親が泊まったことを思い出す。
「羚汰の時は?家族来た?」
「ウチは遠かったから、両親は来てないな。でも、ねーちゃんが姪っ子と来た。熱帯魚持って」
熱帯魚と水槽は、お姉さん家族の預かりものだと言っていたのを思い出す。
「そっかー。とうとう引越して来たかー」

