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NEXT 【完結】
第65章 unmoral

羚汰の彼女とオボシキ人物の喘ぎ声が、はじめっから結構聞こえていたこと。
夜通し聞こえてくるその声で、眠れない日々が続いていたこと。
注意しようにも、音が音なので注意しづらく。
不動産屋のおっちゃんにも言い難かったこと。
当時、新婚ほやほやだったのに、新居の完成が伸びて母屋に仮住まいの千夏夫婦から『一晩でいいから貸してくれ』って言われていたこと。
その千夏たちの声が、羚汰とその彼女に聞こえて、それ以降収まると期待していたこと。
当日は、稜は実家に帰って、何がどのように行われたか知らなかったこと。
その事を必死で説明する。
なんとか理解してもらおうと必死過ぎて、話も多少前後した。
こんな話で、伝わるかどうか。
信じてくれるだろうか。
とりあえず言い終えて羚汰の顔をそっと見上げると、羚汰も羚汰で複雑な顔をしていた。
「これは、作り話でもなんでもないよ。勿論、千夏に確認してくれていいし!有希子ももちろん知ってる」
羚汰がゆっくりとソファに座り直した。
ずっと羚汰の背中のあたりの服を掴んだままだったが、稜も隣に座り直す。
「...あの日、隣にいたのは、千夏さん...」
「そ、そう。千夏と貴之さん。...花見の時、羚汰、母屋にあがったでしょ」
古い日本建築の母屋は、畳の居間の隣に、襖を隔てて客間がある。
欄間は、飾りがついた木製のもので、ほぼ筒抜けだ。
縁側も共有だし。
その縁側に向けてかかるのは、下がガラスになって、外が見えるタイプの障子だった。
もし、そんな場所でイタしたら、このマンション以上に筒抜けだ。
声を押えても、どうにもならない音がしてしまうのだから。
その客間で、千夏は新婚生活を送らなければならなかった。
かなり、イライラしていて。フラストレーションが溜まっていて。
当日、ノリノリになって声を出してくれたと言っていた。
「じゃあ、あの声は...」
「うん。私じゃないの。千夏」
羚汰が前のめりにしていた体を、ソファの背に預ける。
「...そっか....」
ずいぶん時間がかかって、やっとそう呟いた。
そう言ったきりまた黙ってしまって。
いつの間にか目もつむっている。
稜は、話が信じてもらえたかどうかが気になって仕方がない。
「...ねぇ。信じてもらえた?」
そっと羚汰の腕、服を少しだけ摘まんでみる。
夜通し聞こえてくるその声で、眠れない日々が続いていたこと。
注意しようにも、音が音なので注意しづらく。
不動産屋のおっちゃんにも言い難かったこと。
当時、新婚ほやほやだったのに、新居の完成が伸びて母屋に仮住まいの千夏夫婦から『一晩でいいから貸してくれ』って言われていたこと。
その千夏たちの声が、羚汰とその彼女に聞こえて、それ以降収まると期待していたこと。
当日は、稜は実家に帰って、何がどのように行われたか知らなかったこと。
その事を必死で説明する。
なんとか理解してもらおうと必死過ぎて、話も多少前後した。
こんな話で、伝わるかどうか。
信じてくれるだろうか。
とりあえず言い終えて羚汰の顔をそっと見上げると、羚汰も羚汰で複雑な顔をしていた。
「これは、作り話でもなんでもないよ。勿論、千夏に確認してくれていいし!有希子ももちろん知ってる」
羚汰がゆっくりとソファに座り直した。
ずっと羚汰の背中のあたりの服を掴んだままだったが、稜も隣に座り直す。
「...あの日、隣にいたのは、千夏さん...」
「そ、そう。千夏と貴之さん。...花見の時、羚汰、母屋にあがったでしょ」
古い日本建築の母屋は、畳の居間の隣に、襖を隔てて客間がある。
欄間は、飾りがついた木製のもので、ほぼ筒抜けだ。
縁側も共有だし。
その縁側に向けてかかるのは、下がガラスになって、外が見えるタイプの障子だった。
もし、そんな場所でイタしたら、このマンション以上に筒抜けだ。
声を押えても、どうにもならない音がしてしまうのだから。
その客間で、千夏は新婚生活を送らなければならなかった。
かなり、イライラしていて。フラストレーションが溜まっていて。
当日、ノリノリになって声を出してくれたと言っていた。
「じゃあ、あの声は...」
「うん。私じゃないの。千夏」
羚汰が前のめりにしていた体を、ソファの背に預ける。
「...そっか....」
ずいぶん時間がかかって、やっとそう呟いた。
そう言ったきりまた黙ってしまって。
いつの間にか目もつむっている。
稜は、話が信じてもらえたかどうかが気になって仕方がない。
「...ねぇ。信じてもらえた?」
そっと羚汰の腕、服を少しだけ摘まんでみる。

