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NEXT 【完結】
第70章 実家

「自分で持ってきなさいよ」
「いや。何件かこの後寄るんだけど、この時間居ないって人もいてさー」
内祝いのこともあって、こっちに戻ってきていたらしい。
母親が持ってきたフルーツがメロンだったのを気づいた空人が振り返り、立ったままカットされたそれを、ひょいひょいと口に入れる。
「座って食べなさいよ。お客さまがいるのに!」
「ごっちそーさーん!」
バタバタと、空人と母親が玄関に向かう。
リビングを出る時に振り返って、もう一度頭を下げた。
「羚汰さん、すいません。失礼します」
「はい。今日はどうも」
羚汰も立ち上がってお辞儀をしている。
稜は、ふと思い立って空人を追いかける。
「ごめん。ちょっと見送ってくる」
「うん」
玄関に行くと、空人が紙袋を示して母親に説明しているところだった。
「あ、姉ちゃん。姉ちゃんにも、はい。ありがとな」
稜は、何を贈ったらいいか悩んだ挙句、赤ちゃん用品専門店の商品券にしたのだ。
空人たちはそれを、ベビーカーを買う足しにするらしい。
「ありがと」
賑やかだったけど、空人が居てくれてより和んだ気がする。
照れくさかったが、その意味も込めてお礼を言った。
「しっかし、イケメンだな。羚汰さん」
靴を履きながら、空人がつぶやく。
「そう!母さんもびっくりしたのよ!」
流石に羚汰の前では言えなかったのだろう。
一応母親としては声を落として息巻いている。
「話してて、賢そうだし。すげーキチンとしてるしさ。姉ちゃん、あんな人に愛されて幸せだね」
弟の口からそんな言葉が出てくるとは思わなかったので、すごく恥ずかしい。
「な、母さん」
「そうね。思ってたのと随分違って、本当驚いたわ」
母親も肯定的で、稜のほうが驚く。
「耳に穴がいっぱいあって、それにはビックリしたけどね」
羚汰の耳は数もさることながら、重いものをつけているからか、穴もそこそこ大きくて目立つ。
「でもそんな肌が黒かったりとか、金髪だったりとかじゃないし。大学生なんだからピアスぐらいいんじゃね?」
空人がそう擁護してくれるが、最近まで金髪に近かったとはとても言えない。
「やべ、もう行かないと。じゃ」
空人をそのまま玄関先で見送り、リビングに戻ると、羚汰がカイとじゃれあっていた。
「おかえり」
「いや。何件かこの後寄るんだけど、この時間居ないって人もいてさー」
内祝いのこともあって、こっちに戻ってきていたらしい。
母親が持ってきたフルーツがメロンだったのを気づいた空人が振り返り、立ったままカットされたそれを、ひょいひょいと口に入れる。
「座って食べなさいよ。お客さまがいるのに!」
「ごっちそーさーん!」
バタバタと、空人と母親が玄関に向かう。
リビングを出る時に振り返って、もう一度頭を下げた。
「羚汰さん、すいません。失礼します」
「はい。今日はどうも」
羚汰も立ち上がってお辞儀をしている。
稜は、ふと思い立って空人を追いかける。
「ごめん。ちょっと見送ってくる」
「うん」
玄関に行くと、空人が紙袋を示して母親に説明しているところだった。
「あ、姉ちゃん。姉ちゃんにも、はい。ありがとな」
稜は、何を贈ったらいいか悩んだ挙句、赤ちゃん用品専門店の商品券にしたのだ。
空人たちはそれを、ベビーカーを買う足しにするらしい。
「ありがと」
賑やかだったけど、空人が居てくれてより和んだ気がする。
照れくさかったが、その意味も込めてお礼を言った。
「しっかし、イケメンだな。羚汰さん」
靴を履きながら、空人がつぶやく。
「そう!母さんもびっくりしたのよ!」
流石に羚汰の前では言えなかったのだろう。
一応母親としては声を落として息巻いている。
「話してて、賢そうだし。すげーキチンとしてるしさ。姉ちゃん、あんな人に愛されて幸せだね」
弟の口からそんな言葉が出てくるとは思わなかったので、すごく恥ずかしい。
「な、母さん」
「そうね。思ってたのと随分違って、本当驚いたわ」
母親も肯定的で、稜のほうが驚く。
「耳に穴がいっぱいあって、それにはビックリしたけどね」
羚汰の耳は数もさることながら、重いものをつけているからか、穴もそこそこ大きくて目立つ。
「でもそんな肌が黒かったりとか、金髪だったりとかじゃないし。大学生なんだからピアスぐらいいんじゃね?」
空人がそう擁護してくれるが、最近まで金髪に近かったとはとても言えない。
「やべ、もう行かないと。じゃ」
空人をそのまま玄関先で見送り、リビングに戻ると、羚汰がカイとじゃれあっていた。
「おかえり」

