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私と絵のぐと
第12章 幸福と恐怖
扉の向こうには瑠晴を囲む大勢の人。

皆綺麗な人ばかりで、引け目を感じてしまう。

天才画家と呼ばれる男と普通のOL。

どんなに綺麗に着飾っても瑠晴の隣に並べない。

どうして、瑠晴は私を選んだのかわからないでいた。

ードンっ!ー

「…っ痛…。すみませ…。」

立ち尽くす私を突き飛ばすように誰かと肩がぶつかってしまった。

「痛い…。こんなとこに、ボーッと突っ立ってないでよ。
 ……あれ?あなた…。」

ぶつかった人は、スタイルもよくて自信に満ち溢れたオーラを放った女の人だった。
顔を見られ気づかれると思い、顔を背けてしまう。

「す、すみませんでした。」

その場を去ろうとする。

「ちょっと待ちなさいよ。あなた、瑠晴のモデルよね?」

腕を掴まれ、体は動けない。全てを見透かすような瞳に怖じ気づいてしまう。

「あ…いえ。違いますよ…人違いでは?」

「絶対そう…どうして、あなたがモデルなの?どんな手を使って瑠晴に迫ったの?こんな魅力もない…。」

どうして、知らない人にここまで言われなければならないのだろう。

「優瑠!!ここにいたのか!」

真後ろから、私を呼ぶ声が聞こえた。

「悛先輩…。」

「探したよ!ほら、迷子になってんなよ!帰るぞ。
 あ。こいつに何か用事ですか?」

悛先輩は、女の人に一声かけた。

「あ…いいえ。失礼するわ。」
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