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薔薇色タクシー
第5章 ♡ダンディ系♡
もう少しでスイッチに脚の先が届く…


よっしゃ…もう一歩ぉぉぉ…


キキキキィィィィ!


「きゃぁぁぁっ!」


途端、急停車した。


脚を伸ばしていたのと手首を縛られていたせいか、踏ん張れなくて助手席の背凭れに、重力のまま突っ込んだ。


「はぁ…何があったんですか?」


埠頭も近い開発都市、道は広けれど車は殆ど走っていない。


「あぁ…急にすまない…猫が飛び出して来たもんで…」


「猫が…」


素早く視線を動かしたが、猫らしき気配はない…


もしかして、非常スイッチの存在に気付いているのかしら?


「じゃぁ…発進するよ…」


「はい…」


参った…案外強者だ。


若しかしたら寿司屋に行く前に、車内をチェックされていたのかもしれない。


唇を噛んで再度ルームミラーを見ると…


「あ…」


ダンディ様と目が合った。


「どうか…したの?」


「いえ…何も…」


ダンディ様の運転は上手くって、急ブレーキ以外は、スマートなハンドル捌きだった。


「運転…お上手ですね…」


煽てでもなく素直な感想だった。


「そう…?プロのドライバーに褒められるなんて光栄だね」


そう言って最初に見せた穏やかな微笑みで、ハンドルを左折にきる。


それから20分程経った時だった…



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