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薔薇色タクシー
第5章 ♡ダンディ系♡
「有難うございます…」


でも、両手を縛られたままだし、ジャケットを掛けて貰っても、歩いている内に落ちてしまうだろう。


まさか…それが狙いとか!?
ドSならあり得るかもしれない!


仕方なく立ち上がろうとすると…


フワリ…


身体が宙に浮いた。


「きゃぁ!」


「失礼…これしか運ぶ方法がないからね…」


「そうですか…」


横抱きで抱き上げられて、不覚にも胸が跳ねそうになった。


いかん!いかん!
これから何をしてくるか分からない相手に、無駄にときめいている場合じゃない…


純粋にときめく相手、作らないとかしら…
人間境地に立たされると、守りに入ってしまうものなのね…。


などと思わず自分らしかぬ事まで、頭を過ってしまった。


悶々としている私にダンディ様は


「出来たら腕を頭に通して貰える?その方が落ち難いんだけど…」


「えぇ…分かったわ…」


ダンディ様は長身だ、落ちたら怪我だけじゃ済まないかも…


素直に縛られたまま、輪になった腕をダンディ様の首に掛けると…


「有難う…これなら大丈夫…」


フッと、優しく微笑んだ。


うぅっ…
なんだ…このカメレオン?


ドSな顔と…
紳士的な顔…
時たま見せる無邪気な顔…


コロコロと表情が変わって、真意が読み取り難い…。


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