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加虐の皇子と愛玩ドール
第9章 快楽誘引
* * * * * * *
みおりは雅音達に別れを告げると、ほづみを連れて、馴染みのバーを後にした。遊び帰りの会社員や学生らの波を縫って、見馴れた帰路を急ぐ。
『Gemini』から電車で数分揺られた先のマンションに帰り着くと、みおりは私宅の鍵を開けて、ほづみを中へ促した。
風呂を沸かす時間も惜しい。みおりに従って、ほづみもシャワーさえ浴びたがらないで寝室に付いてきた。
寝室は、三日前にほづみが脱ぎ捨てた春先のワンピースが吊るしてあった。クリーニングは済んでいる。持ち帰らせるのはいつになっても問題ない。
「……はぁっ、みおりさん。……」
みおりはほづみが後ろ手にノブを回したとほぼ同時、火照ったドールの片手首を扉に縫いつけた。
物欲しげな唇をキスで塞いで、エロティックなノンフィクションを物語っていた舌を絡め取る。なめらかな歯列をなぞって唾液を掬って、ほづみの柔らかな舌の味を貪りながら、みおりは欲情的な肢体をもったいぶらせるワンピースのファスナーを下ろす。指先にまとわりつくフリルを払って、大袈裟な狭衣がほづみの足許に落ちてゆくや、いくらか見事な曲線を強調したウエストを引き寄せた。
「はぁっ、んん、ん……」
みおりは上下する乳房をブラウスごと揉みしだく。
深い深いキスを離すと、荒い息が立っていた。ほづみの淡いチークの浮かんだ頰や感じやすい耳朶、首筋をくすぐりながら、パニエをぐいっとまくり上げる。
「脱げよ」
「……っ、……」
ほづみの官能にほだされた双眸に、絶対的な追従が顕われていた。
みおりはほづみを部屋の中央へ引き連れてゆく。
白熱灯の直下の明るみに、被虐に魅せられた愛玩ドールがくっきりと照らし出された。
ほづみの指が、餌を前にした獣同然に荒く動き出す。ブラウス、パニエ、ドロワーズ、それから肌着が、呆気なくほづみを隠す役目をなくした。
「ぁっ」
みおりはほづみの両腕を開けて、丸裸になった肉叢を上から下まで検分してゆく。
キスで化粧の崩れた口周り、みおりの唾液でてかった首筋、かたちの良い乳房はいただきでぴんと張った蕾が飢えた欲望を主張しており、柔らかな血肉を刷いたウエスト、無防備な恥丘、顫える太もも、脚──…ほづみを形成しているパーツは、主の意識が差し響いていないにせよ、あらん限りにその欲望を訴えていた。