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加虐の皇子と愛玩ドール
第12章 錯綜同衾


「恥ずかしい、とかね、……多分、どうでも良いの」

 遅ればせながらの回答だ。

 海老のカクテルを飲み込むや、ほづみがりんこを他愛のない目つきで見つめた。

「巴山さんとああいうお友達だった時もあるし、みおりさんのこと……他の人に触れて欲しくないなって、考えたこともあった。りんこちゃんは、どこまで知ってるかな」

「多分、ほとんど」

「そう、じゃあ、話は早いわ」



 ほづみはりんこに彼女の口から打ち明けた。

 姉がレズビアンバーを経営しており、彼女のぼうぞくな企画の所為で、思春期の時分からの妄想が現実になったこと、そこでみおりと出逢ったこと、ゆかと再会した頃には、実に多くの女性達に抱かれ、自らも性器をもてあそぶこと。…………


「羞恥でさえ気持ち良いの。……そう、私はりんこちゃんにそういうこと言われて濡れちゃった。けど、誰かに迷惑かけてるわけじゃない。自虐的とも思わないし、私は私が大事だから、したいようにしているの。だから、……今は、みおりさんを独占したくもないかな」

「…………」

 しづかの話したりんこの素顔は、けだし事実だ。それだけに、りんこは実際、ほづみの話に頷いて、感服にも等しい情感を現した。

「なんか、あれよね」

「ん?」

「ほづみちゃん、運が良かったんだわ。お姉さんと言い巴山さんと言い、ほづみちゃんは周りの人に恵まれてたんだ。それから、塙岸さんも」

「それは、りんこちゃんだってそうでしょ」

「誤解しないで。私はマゾでもサドでもないから」

「そう?りんこちゃんのいじり方、結構意地悪だったけどなー」


 ぞくぞくしちゃった。


 りんこの指が、いたずらに笑ったほづみを小突いた。


 …──だったら、また浮気させてあげようか?


 みおりはりんこの戯言を咎めた。


「ほづみ。明日帰るんだから、観光続き」

「あ、みおりさん嫉妬ですか?」

「別に。もったいないじゃん。こんな遠くまで来て。それにずっとこもってるのも飽きたし」

「それ、みおりさんが言いますか……」


 カウンターの近くでは、ゆかとみほこ、萌とたえが、飽きもしないで縄に繋がれた女体を淫ごとの遊具にしていた。







第12章 錯綜同衾─完─
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