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加虐の皇子と愛玩ドール
第3章 人形実験
肉体関係の相手の前で洋服を脱いだのは、初めてだ。
このタオルの下は、身体の他に何もない。なんて無防備なことだ。
いつも脱がせて、いじって、喘がせて、とことん情欲と屈辱にまみれた女を堪能する。情事の前のシャワーは不要だ。そして、恋だの愛だのという感情は一切シャットアウトして、自ら翻弄する女体をいかに堪能するかだけに情熱を注ぐ。
それが従来の楽しみ方だ。
みおりは誰かに自分自身を知って欲しいと望まなかったし、触れられたいとも思わなかった。
それなのに、今、モニターという特殊な事情で始めた情事の所為で、イレギュラーな展開の中にいる。調子が狂う。
「っ……」
みおりの暇をもて余していた左手が、ほづみに握りとられていった。
姉に似た思慮深い双眸に、左手を、焼き尽くされんばかりにまじまじ見られる。
「どきどきします」
「──……」
「私、玩具より、みおりさんの手が一番好きです。この綺麗な手に、きっと何人もの女の人が魅せられて……私なんて大勢の中の一人に過ぎないんだろうな。さっきだって、みおりさんのこと見てる社員さん、たくさんいました。でも良いんです」
みおりの薬指の付け根に、くすぐったすぎる熱いものが触れてきた。
「…………」
ほづみの強かな唇が、そっと、薬指から離れていった。
「私はみおりさんのお人形ですから。お人形に、ご主人様の交流関係に介入する権利はありません。お人形は、ただ、黙ってご主人様の意のままでいさせていただくことが幸せなんです」
「…………」
みおりはほづみの右手を握って、シャワーをホルダーにかけた。
その肩を引き寄せて、頬に右手を添えて耳朶をくすぐる。
「物分かりの良い人形だ。ほづみだけだよ?他の女は皆、人間。意思は自由に持たせてやってる」
けど、と、みおりはほづみの乳房を握って、柔らかな楽器を奏でるように乱暴に揉む。
「ぁん、はぁっ、はぁぁ……っ」
「ほづみの権限は私がもらった。とっくの前にね?だから君には、こういうことを素直に喜ぶ義務があるし」
「ああっ!!」
みおりはほづみの前髪を掴み上げた指先で、そのフェイスラインをなぞっていった。そして、細い首に手をかける。
「こうしたって、次に来るものをじっと受け入れるより他にないんだ」
「んっ、んん……」