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監禁DAYS
第5章 今だから言わせて

「……無駄に股開いてたわけじゃないのよ。ちょっとは危険なところにも行って、色んな話を聞いたの。そのうち二人は無理やりヤってきたからムカついて海に捨てちゃったけど」
「前もそんなこと言ってたな」
「そうだっけ?」
 ふふ、と微笑む美月から離れて椅子に腰かける。
 どっと疲れた。
 だが、まだまだ疑問が残っている。
「猶更わからないな。日時もお前が指定したんだろ。岸原の監禁場所だって。それなのに同じタイミングで自分が俺に監禁されていることにもうちょっと抵抗とかないのか」
「ふはははっ。何言ってんの一郎。はははっ」
 爆笑する美月に言葉も出ない。
「っははは……あーもー。抵抗って何よ。どうしたらそれっぽいの? もう三日目なのに今更泣き喚くの?」
「泣き喚くのなら何回か見たが……ああ。そうか。それでお前は五日って知ってたのか」
 合点がいった。
 美月は壁にもたれて腿を擦り合わせた。
「そう。岸原の方は明日よね。ふふ……楽しみだわ。ふふふ。美香ぁ……」
 小さく肩を震わせながら、眼を細めて、瞬き一つせずに笑う美月には、理解できないほどの狂気が滲んでいた。
 当たり前、か。
 肉親を殺した犯人が自分の好きなように出来る支配下にある。
 それもあと一日で岸原は死ぬ。
 愉しいか?
 幸せか?
 そんな単純なものでは表せないほどの。
 罪悪も入り混じり。
 ただの復讐ではない。
 同じように命を奪うのだから。
 二重。
 あの言葉が更なる意味を持つ。
 被害者であり、加害者に。
 そうしてまたも、被害者に。
 忙しいな。
 身分が次々代わって。
 柊美月。
 柊美香。
 もしも逆ならどうなっていた。
 どう違っていた。
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