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crazy night
第10章 不協和音
「「乾杯!」」

細いシャンパングラスが綺麗な音を立てる。

しばらく距離をおいていた2人の時間をうめるように楽しい食事はすすんだ。

ゆっくり、でも早く、幸せな時間は過ぎてしまう。

コースの最後は冷たいソルベとフルーツの盛り合わせで締めくくり、有紗は久しぶりに身も心も満たされた気分だった。

最近は控えていたお酒も、今日は少しだけいつもより飲んでしまった。

「あ~、最高!あんなに美味しいもの食べたの久しぶりでしたよ、今年1かも♡ぁ、味もさることながら、お店の雰囲気も!」


さきほど澱んで見えていた町並みも、今は色鮮やかに輝いて見える。

子供のようにはしゃぐ有紗を、目を細めて優しい笑顔で見る雄二。

ここのところ思い悩んでいるように見えていた有紗のことを心底心配していたからか、楽しそうに「美味しかったですね!」と、笑いかけてくれる有紗に雄二は少し安心していた。
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