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crazy night
第10章 不協和音
「ねぇ、有紗ちゃん…」

コクリと唾をのみ、緊張を隠した精一杯の笑顔で「何ですか?」と答える。

「守ってあげれなくて本当にごめん」

雄二がまっすぐな目で、有紗を見つめる。

デリケートな事なので率直には聞けない雄二は言葉を濁しぎみに続ける。

「あれから、ずっと元気なかったけど…その、大丈夫?強がってるように見えた時もあった。」

緊張していた有紗の目が少し潤んだ。

「大丈夫です…士郎さんと出張に出たときも何もされませんでしたし…」

うつ向きがちに応えた。


「じゃぁ、自分の代わりに怪我をした責任を感じて、士郎さんのマンションに行ってたの?」


有紗は目を丸くして、雄二をみあげた。
士郎が、誰かに口外したのか…有紗は雄二が全て知っているのだと勘違いしてしまった。

「それは…だって、雄二さんが真由さんを抱き締めて居るのをみて、私…いてもたってもいられなくなって…」

驚いた表情をしたあと、怪訝な顔をして雄二は声を低くした…

「それで、士郎さんのところに行ったっていうのか?」
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