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第10章 不協和音

有紗の手は震えていた。

「自分がアイツに何されたかわかってんのか!?」

雄二は嫉妬で胸が張り裂けそうだった。
確かにあの日、真由のことを抱き締めはしたが自分達は決してそういった関係ではなかった。
少なくとも、雄二にとっては…

そんなことを知らない有紗は自分の想いをぶちまけてしまった。
「私だって、本当は雄二さんに抱いて欲しかった！」

思ってもみなかったこの言葉に、雄二は士郎と有紗に何が起こったか把握した。

「何だよそれ…自分から抱かれにいったってのかよ…」

冷ややかに雄二は言葉を闇に沈めるように放った。