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王女様の不埒な暴走
第5章 暴走の果ての悲劇



「まったく……無茶をなさる方ですね」


 媚薬に冒されているのが嘘のような、優しい声が頭上から降ってくる。その声に誘われ、リンゼイがそろそろと顔を上げると、困ったような笑みを浮かべる彼の美貌が近づいてきた。


「ジョ……、んんっ?」


 唇を塞がれ、肉厚の舌が口腔に入ってきた。そのまま押し倒され、艶やかな彼女のトゥーヘアードがリネンの上に広がった。


 歯列を舌先でなぞられ、頬の粘膜を刺激され、惑うリンゼイの舌を絡め取ってくる。頭の芯が蕩けそうな口づけに、ゾクリ、ゾクリと肢体に愉悦が走る。


「なん……、待……て……ンンッ」


 なぜ自分は彼に口づけされているのだろうか。自由になったジョシュアはてっきり酷いことをしたリンゼイなど捨て置き、部屋から立ち去るだろうと思っていたのに。


 困惑と愉悦の狭間で揺さぶられ、ますます思考が混乱を極める。


「おや、どうされました? なにを驚いておられるのですか」


「だって、あの……私、ジョシュアさんにあんなことを」


「そうですね。……主〈アナタ〉にあれだけご奉仕させたのですから、今度は執事〈ワタシ〉がたっぷりとお返ししなくてはなりません。そう、でしょう?」


 慇懃〈インギン〉な言葉使いをしているジョシュアだったが、壮絶な色香を纏い、拒絶出来ない凄みを放っていた。





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