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王女様の不埒な暴走
第5章 暴走の果ての悲劇




「もし、見つけ出せない場合……見つけても差し出せない場合は、リンゼイ様の御身を一任されていたレオナルド様が責任を負うことになります」


 だがそんなことは彼が……。


「ジョシュアさんはレオナルド様にお仕えする使用人の中でも、最も忠誠心が強い方です。レオナルド様に責任を負わせるくらいなら、ご自分から名乗り出られると思われます」


 そうだ、そうなのだ。


 ジョシュアが保身のために黙っているとは思えない。父がリンゼイの相手を探せと命じたならば……もしかしたら命じる前に名乗り出てしまうのではないだろうか。


「リンゼイ様。我が国はあなた様の純潔を守れなかった引き換えに、レオナルド様の王太子退位か、ジョシュアさんの首を差し出すか。どちらかの責を負うことになるでしょう」


 リンゼイからは完全に血の気が失せ、恐怖に顔を歪ませ、全身がガクガクと震えている。


 ライラの言った意味がようやく解った。自身が犯した過ちに気付かされ、後悔するも──今さらだった。


 ライラはゆっくりと、そして静かに告げる。


「ひとつだけ言えることは……今、リンゼイ様はカンターヌへ帰られてはいけない、ということです」


 その声はほとんど耳に入っていなかった。


 脳裏に過った恐ろしい光景──ジョシュアが首から鮮血を流している光景に、リンゼイの焦点は合わず、ただ震えるしかなかった。






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