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王女様の不埒な暴走
第5章 暴走の果ての悲劇
「お父さまにだって言わない。絶対よ」
リンゼイは髪を振り乱し、顔を横に振る。
父に詰られようが、たとえ勘当されようが、口を割るつもりなど毛頭ない。
「リンゼイ様……口外されるかどうかは問題ではないのです」
ライラが哀しい顔をして、膝の上で拳を作るリンゼイの手を握った。
「問題はいつ、どこで、リンゼイ様の処女が奪われたか、ということなのですよ」
ライラの言っている意味がはじめ解らなかったが、徐々に理解しだし、リンゼイの血の気が失せていく。
「最初に申しあげたとおり、リンゼイ様はカンターヌの王女さまです。他のご令嬢よりも厳重に警護され、血迷った男に穢されないように守られておいでです。そう……少なくともカンターヌでは」
動悸が速まってくる。なぜそこに思い至らなかったのだろうか。
「そうなるとリンゼイ様が処女を捧げた相手はこのラインハルトにいる、ということになります」
自分さえ黙っていれば、相手を知りようがないものだと思っていた。浅はかだった。
「そして国王さまはその相手を必ずや見つけ出せと、我が国にお命じになることでしょう」
自分は一国の王女で、ジョシュアと結ばれるため、その地位を捨てたいと願ったこともあったが、簡単にいかないのも地位というものだ。頭では解っていたのに──本質を理解出来ていなかった。
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