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王女様の不埒な暴走
第1章 物語のような恋の始まり
一人の少女が駆けていた。
白に近い艶のあるトゥーヘアードを揺らし、パッチリと大きなスカイブルートパーズ色の双眸はやや怯え、妖精のように愛らしい顔を息苦しさからか歪めている。白皙の肌は走っているからか、それとも興奮気味だからか上気し、ほんのりと色づいていた。
すでに息を切らし、けれど少女は何度も後ろを振り返りながらも駆けるのをやめない。
荘厳な城を飛び出て、噴水のある庭園をドレスをたくし上げ駆ける。
「──リンゼイ!」
少女の後ろから、彼女を呼び止める声がする。その声に少女──リンゼイはさらに怯え、一層足を速める。
「リンゼイ待てよ! なんで逃げるんだ! リンゼイってば!!」
苛立ちを湛える声の主は、リンゼイよりやや年上の青年。
くせのあるダークブラウンの髪に翡翠色の瞳、鼻梁は丸みがあり、眉はやや太い。年齢よりも精悍な顔付きの青年はリンゼイを追いかけ、彼も走る。
「来ないで、スチュアート!」
リンゼイは青年──スチュアートに向かい、半泣きになりながらも叫んだ。
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