この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
王女様の不埒な暴走
第8章 王女の持つ鍵と執事の手袋と刺繍の秘密
「ふ……あ」
学校の帰り。揺られる馬車の中でリンゼイはつい欠伸をしてしまう。
「お疲れですね。それほどジョシュアの"レッスン"は厳しかったですか」
対面に座るレオナルドが苦笑する。彼が居ることを忘れていたわけではないが、あまりの眠さに欠伸が出てしまったのだ。
「い、いえ! すみません……」
昨夜の痴態を思い出し、まさかレオナルドはその一部始終をジョシュアから報告されているのではと勘繰り、リンゼイは真っ赤になって俯く。
レッスンを命じたのはレオナルドであるし、報告を受けていてもおかしくはないが、願うならば何も聞いていて欲しくない。
だが彼はジョシュアの真の主だ。身勝手な欲望を暴走させ、またジョシュアに迷惑をかける懇願をしてしまったことを謝るべきか、と考えていると。
「王女。先日話しそびれた策をここでお話ししても構いませんか」
「は、はい。もちろんですわ」
ジョシュアを助ける手立てだ。眠気に負けている場合ではないと、リンゼイは背筋を正す。
「王女の協力が必要と言った私の言葉を覚えておいでですか」
「はい。私にできることなら、なんでもさせてください」
本心だった。どれだけ無理難題であろうが、ジョシュアのためならばなんだってしてみせる。
.