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王女様の不埒な暴走
第8章 王女の持つ鍵と執事の手袋と刺繍の秘密
「ジョシュアにはとても強固で重たい枷が嵌められています」
「枷、ですか」
あまりの唐突な話にリンゼイは思わず聞き返す。
「ええ、そうです。その枷は意図してなかったのですが私が嵌めてしまったものです。それを是非王女に外していただきたいのです」
リンゼイは狭い車内で視線を彷徨わせ、首を傾げる。枷を外すというからには、鍵のようなものでだろうか。だがリンゼイには心当たりがない。
「あ、の? 私、ジョシュアさんの鍵をお預かりしてましたでしょうか。それと枷を外すことと策はどのような関係が?」
レオナルドは眼を丸めたあと、くつくつと笑う。なにかおかしなことを言っただろうか。
「すみません。鍵は預けてはいませんよ。ですがそうですね……おそらくはすでに王女はもう手にしておられますよ」
「はぁ」
「そして枷を外すことこそが、すべての者を救う最善の策になると、私は踏んでいます」
レオナルドは確信を籠めた口調で言う。彼の言うことがリンゼイにはまったく見当がつかないが、ジョシュアもレオナルドも、そして双方の国民を救うならばと「やってみます」と頷く。
「ありがとうございます。では今夜にでもジョシュアの部屋を訪ねてみてください。ただしお一人で行かないように。他の使用人に見られたら事ですから。ライラに見張らせるといいでしょう」
「わかりました。そう致します」
レオナルドにそう約束し、リンゼイは夜を待った。
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