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王女様の不埒な暴走
第8章 王女の持つ鍵と執事の手袋と刺繍の秘密




 ── キャンディスがジョシュアの……妹?


 にわかに信じがたい言葉に、リンゼイは耳を疑う。


「う、そ……。だって殿下が……」


「レオ様はなんとおっしゃっていたんですか? 隠し立てせず、正直にお答えください」


 リンゼイの部屋でレオナルドに訊いたとき彼は……。


「お二人が愛し合ってらっしゃることを否定されませんでした……」


 だから噂や自ら見た光景が真実だと信じていた。ジョシュアはリンゼイを傷付けないようになのか、それともすでに気持ちに整理がついているため、キャンディスの迷惑になるような事実を隠したいがためか、嘘を言っているに違いない。だが……。


「まったく、あの方は……。どうせこうなることまで予測して、敢えてリンゼイ様の誤解を解かなかったんでしょう。たしかに愛し合ってはおります。兄妹ですから」


 家族愛だと言い張るジョシュア。もしそれが真実ならば……。


「ジョシュアさんは……シュトワール侯爵のご子息、ということですか」


 侯爵子息が執事をするなど聞いたことがない。リンゼイは混乱する頭をどうにか整理しようと必死だ。








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