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王女様の不埒な暴走
第8章 王女の持つ鍵と執事の手袋と刺繍の秘密




 唇を割り、口腔へ侵入してくるぬるついた肉厚の舌。荒々しく口腔をまさぐり、蹂躙される。


「ふ……、う……ジョ、シュアさ……ん、ふぅ……っ」


 なぜ口づけされているのかも解らず、リンゼイは彼の舌から逃げ惑うが、いとも容易く絡め取られ、吸い上げられてしまう。


 クチュクチュと淫猥な水音を立て、口蓋や敏感な頬の粘膜や舌を擦られているうち、脚に力が入らなくなり、ガクンと膝から落ちそうになる。咄嗟に腰に回されたジョシュアの腕がリンゼイを支えた。


「……口づけひとつでこれほど淫らな顔をされるのに、処女だと言い張るおつもりですか」


 息を乱すリンゼイを、細めた瞳でジョシュアが見下ろす。


「ジョシュアさん……?」


 彼は眉間にシワを寄せ、瞼をきつく閉じ、なにかに耐えるような表情をする。


 そして瞼が開かれたときには、怒りの片鱗もなく、ひどく優しい顔をリンゼイに向けていた。


「あなたをここに寄越したのはレオ様ですね」


 彼はフッと笑う。


「どうやら私の負けのようです」


「あの……?」


「リンゼイ様。あなたは誤解なさっている。キャンディス様は……いえ、キャンディスは……血を分けた私の実の妹です」


「…………え?」








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