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王女様の不埒な暴走
第2章 姫は運命に抗らう
「嫌です、絶対に嫌です!!」
リンゼイが17歳になって数ヶ月後。父の書斎にリンゼイの力強い声が響いていた。
普段は大人しく父母の言いつけにも従順なリンゼイが初めて見せた強気な態度に、革張りの立派な椅子に座る父は面食らっている。
重厚な机を挟んで互いに口をきかずにいたが、ややあって父が重々しく口を開く。
「しかしな、リンゼイ。これはもう決まったことなんだ」
「お父さま! どうして勝手に決めるんですか? 私の将来のことなのに!」
「娘の将来をいい方向に導くのは親の務めだ。勝手などではない」
「それは私にとっていい方向なんかじゃありません。お父さまと国にとって利があるだけでしょう? 私のためだなんて都合のいいことおっしゃらないでください!」
「リンゼイ! 親に向かってなんという口のきき方をするのだ!」
叱責の声が飛んできて、さすがに言いすぎたかと口を噤むも、リンゼイは断固として反発の意志を示す。
「とにかくお断りしてください」
言い捨て、リンゼイはドレスの裾をはためかせて書斎から逃げるように出て行った。
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