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王女様の不埒な暴走
第2章 姫は運命に抗らう
父と口論をしてからというもの、リンゼイは部屋に閉じ籠り、ときには空腹を我慢し食事を抜き、それだけ強い意志があるのだと暗に父に伝えた。もちろん話し合いなどするつもりもなく、部屋の外から父はおろか母や兄に呼びかけられても応じなかった。
弱り果てたらしい父はリンゼイが最も信頼し、心を開いている姉を嫁ぎ先から呼び戻した。
「リンゼイ、私よ。開けてくれない?」
金で縁取られる白い扉の向こうから、懐かしい声がして、思わず開けそうになるも、姉が父の差し金だというのはリンゼイにも想像がつき躊躇する。
するとリンゼイの考えを見越したように、再び姉が扉越しに言う。
「大丈夫、私はリンゼイの味方よ。でも話をさせてくれないことには、何もしてあげられないでしょ? ここを開けてくれないかしら」
「……わかりました。お姉さまおひとりですよね?」
「もちろん」
姉は小賢しい嘘をつく人じゃない。外の様子は解らないが姉を信用し、鍵を開けて招き入れた。
「ああ、よかった! ずっと閉じ籠りきりだって聞いていたから、心配してたのよ。少し痩せた?」
部屋に入った途端、姉に抱きすくめられる。本当はずっと心細かったリンゼイは、久しぶりに会う姉の顔に堪らずハラハラと涙を零してしまった。
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