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王女様の不埒な暴走
第10章 迫りくる刻、そして……




 ライラとほとんど会話を交わせなかったが、この上ないほどの収穫があった。


 ジョシュアと今も想いがひとつという収穫だ。


 もう自分に気持ちがなくなったのでは、求婚だってレオナルドが言っているだけで、ジョシュアからは言われておらず、本当に自分と結婚する気はあるのだろうか。そんな嫌な考えが何度過ったことか。


 その都度、その考えを追いやっては自らを奮い立たせ、父に立ち向かってきた。だが淋しさと不安に幾度も心が折れそうになった。


 けれどまだ頑張れる。愛の籠ったこのハンカチーフがあれば。


 心が折れそうになったときはこれを見て、また奮い立とう。


 きっと……必ずジョシュアは迎えに来てくれる。


 アリエッタも見つかり、皆が笑顔で再会する日が必ず来る。


 リンゼイはハートが描かれるハンカチーフを抱き、瞼を閉じて、憧憬に夢を馳せた。








 ──けれど。


 それからまた月日は悪戯に流れ、この長く辛い日々にリンゼイの願いとは別の形で終止符が打たれようとする日が迫っていた。







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