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王女様の不埒な暴走
第10章 迫りくる刻、そして……
ジョシュアから貰ったハンカチーフを抱き締め、自分もなにかお返し出来ないかと考えを巡らす。
そうだ、と思い立ち、ライラに少し待ってもらうように言い、クローゼットから男性が持っていてもおかしくないレースのついてない白いハンカチーフを持ち出す。
そして化粧台から紅を出し、唇に引くと、その唇をハンカチーフへと押し当てる。
くっきりと付いたキスマークが刻まれるハンカチーフをライラに渡す。
「ジョシュアさんにはこれをお願いできるかしら」
文字はなくとも想いを伝える方法をジョシュアが教えてくれた。これできっと彼にもリンゼイの想いが伝わるはずだ。
「はい、たしかに承りました」
ライラはジョシュアから受け取った小箱にリンゼイのハンカチーフを丁寧に入れる。もし誰かに見られても、これならば洗濯物として捉えてくれるだろう。
「なにかジョシュアさんにお伝えしたいことはありますか」
聞かれ、リンゼイは少し考えてから、目一杯の笑顔をライラに向ける。
「"リンゼイはジョシュアさんとの約束を守りながら、元気に父と戦っています"と伝えてくれる?」
こちらは大丈夫だから、ジョシュアはジョシュアのやるべきことをまっとうして欲しいと想いを込め、ライラに頼んだ。
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