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王女様の不埒な暴走
第11章 物語の結末は




 それはリンゼイが父の書斎に呼ばれた日のことだ。


 この日の父はいつものような怒りや苛立ちはなく、違う意味で恐怖を覚えるほどに穏やかだった。


「……リンゼイ。もう半年だ。半年経ったのだ。レオナルド殿下は礼を尽くしてくれ、私も随分と我慢して待った。だがな、半年というのはあまりにも長い時間だ。それはお前とて同じだろう?」


「……」


「いいか、リンゼイ。王族の女はお前のように好いた男がいても、慣習にならって王が決めた相手と結婚してきた。お前だけが特別じゃないんだ。わかるな」


 このところ、父の顔に疲れが見えていた。原因はリンゼイと喧嘩のような言い合いだ。それが解るだけに、リンゼイも最近では強く出れずにいた。


 今も諭すような口調に言い返すことは出来ず、リンゼイは黙って父の言葉を聞いている。


「私とて人の親だ。お前たちを不憫には思う。だが私は親である前に王でなくてはならないのだ。それはリンゼイ、お前もだ。女である前にカンターヌ王女なのだよ」


 リンゼイはグッと喉が詰まる。


「イレーネもお前の歳には結婚をしていた。民は今か今かとお前の結婚を待ちわびていることだろう。その意味が、お前にはわかるな」








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