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王女様の不埒な暴走
第11章 物語の結末は
王族の結婚は、国一番の祭りだ。
民は王族の結婚を悦びはするが、ただめでたいというだけでなく、民の生活に潤いをもたらすからでもある。
王族が結婚するとならば、国中の貴族や資産家、それに近隣の国の貴族がこぞって贈り物をする。それを造りだすのは民であり、結婚という政〈マツリゴト〉を心待ちにしているのもまた民だ。
リンゼイを含め王族の結婚は、個人の感情だけでなく、民の暮らしも考え行わなければならない。
リンゼイもそれはよく解っている。自分がどれだけ重たいものを背負っているのかも。
「お前は民の想いを裏切ってまで、その男と結婚したいのか」
したい、と喉まで出かかった言葉は、口の中で滑った。
何千、何万という人々の暮らしを潰すには、その言葉はあまりにも軽々しく、無責任で。
ジョシュアへの愛は今も尚、色褪せずにリンゼイを占めている。だが……限界だった。
彼を待つのは耐えられる。父との口論だっていくらでもする。けれど細い肩に圧し掛かる、民の期待を裏切り続けている現実を突き付けられ、リンゼイは唇を噛んで涙を呑み込む。
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