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王女様の不埒な暴走
第12章 エピローグ




 嵐のようなライラが去ったあと、ジョシュアと腕を組み、邸までゆっくり歩く。


 レオナルドやアリエッタ、それにライラの登場で、旅の疲れなどすっかりどこかへ飛んで行ってしまっていた。


「今日からここで新しい生活が始まるんですね」


「そうですね」


 リンゼイは胸にいっぱいラインハルトの空気を吸い込む。そして仄かに香るジョシュアの甘いパルファムに口許が綻んだ。その唇を「あ」と開ける。


「あの、私ってジョシュアさんの妻、ですよね」


「そうですね」


「その……妻に敬語や敬称を付けて呼ぶのはどうなんでしょう?」


 彼にひとつだけ不満があるとすれば、いつまで経っても自分のことを「リンゼイ様」と呼ぶところだ。妻になったのだから、せめて呼び捨てにして欲しい。


「ああ、つい癖で。いずれ直していきますよ」


「いずれって?」


「さあ?」


 誤魔化すジョシュアに唇を尖らせつつ、今度はどうやって彼の口調を直させるかの計画に想いを馳せ。


 けれどそんなリンゼイの不埒な考えを悟らせまいと、愛するジョシュアに寄り添い邸の扉を開け、新たな生活への第一歩を踏み出したのだった。






   ◇fin◇
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