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王女様の不埒な暴走
第12章 エピローグ




「それで、次回作はもう決まっているの? どんなお話?」


 荷物を纏めて戻ってくるというライラを、馬車に乗る間際まで質問攻めにしてしまう。興奮が止まらないのだ。


「ふっふっふ。決まってますよ」


「どんな? ねぇ、少しでいいから教えて?」


「聞きたいですか?」


 リンゼイはこくこくと首を上下に動かし、期待に眼を輝かせる。


「タイトルは──"王女様の不埒な暴走"です」


「……え?」


「内容はですね、とある国のお姫様が別の国の執事に恋をする──というところから始まるんですよ?」


「そ、それって……!」


 まるで自分たちのことじゃないか!


「待って、ライラ! それはちょっとお勧めできないっていうか……」


「ふふ。さて、私はこれで」


 リンゼイの制止も聞かず、ライラは馬車に乗り込んで、さっさと扉を閉めてしまう。そして馬車の中から満面の笑みで、リンゼイに手を振った。


「……彼女が侍女を続けたかった理由は、ネタ集めですよ。侍女の仕事をしていれば、おのずとご令嬢方の恋模様が耳に入りますからね」


 そう言えば、思い返すと姉の話などをやけに聞きたがっていた。


 商魂がたくましいというか、執筆への情熱からなのか。


 呆れを通り越し、噴き出してしまう。なんとも彼女らしい理由だ。





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