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王女様の不埒な暴走
第3章 恋、煩わせる
今度はジョシュアが呆然とする番だった。
ふたり見詰め合ったまま、暫しの時が流れる。止まった時間を動かしたのはリンゼイ。
「部屋まで送ってくださいますか。書物は私も持ちますから、半分お願いします」
ジョシュアが手伝い集めてくれた本を掻き集め、その半分を腕に抱える。
するとジョシュアもようやく我に返り、困ったような呆れたような表情になる。
「リンゼイ様にお持ちさせるわけにまいりません」
そう言ってリンゼイの抱える本をジョシュアは拐う。
部屋に戻るまで、どちらも一言も話さなかったが、リンゼイはどこか晴れ晴れとした気持ちでいた。
リンゼイを送り届けたジョシュアは、扉を閉めると右の掌に顔を埋める。
「はぁ……まいりましたね」
複雑な顔で独りごつジョシュア。だがその顔は決して嫌そうではない。
「まさかああいった態度でこられるとは……」
いつも弱気な彼女から想像もつかなかった強気な姿勢に、ジョシュアは扉の方を見詰める。
微かにクスリと笑いを漏らした彼は、直後には普段の気難しい彼へと戻り、廊下の奥へと消えたのだった。
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