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オルテンシア【紫陽花】~檻の中の花嫁~
第3章 ☆♯01 SceneⅠ(紫陽花の庭)☆
 だから、その日の昼休みも間近となって漸くホッとひと息ついた時、正面から自分に向かって真っすぐ歩いてくる人物がそも誰かに気付いたときは、我が眼を疑った。
 通路一つ隔てた向こうのデスクで、実由里がしきりに片眼を瞑っている。
「君の身上についてはすべて調べた」
 いきなりの第一声に、美月は惚(ほう)けたように口を半開きにしてその男を見上げた。
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