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オルテンシア【紫陽花】~檻の中の花嫁~
第9章 ♯06 SceneⅥ Autum Park
 と、勇一は抱きしめていた腕の力を少し抜き、ゆっくりと身体を離す。完全に離れるのではなく、両腕の中に美月を閉じ込めたまま、端整な顔をゆっくりと近づけてくる。
 つややかにきらめく漆黒のまなざしが、笑みを含んで細められた。
「美月」
 名を呼ばれ、煩くなっていた美月の心臓が余計に跳ね上がる。
 勇一のことを考えただけで、心がざわめく。
 でも、晃司のことを思い出したときの怖ろしさとは違って、軽やかな気持ちだ。
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