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サイドストーリー2
第14章 Christmas2014
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「10年目の恋」

彼女と付き合って初めてのクリスマス。
俺たちはいつものように映画を見に行った。

「よかったね」
にっこり笑いかける彼女は可愛いけど。
正直、恋愛映画はあんまり好きじゃない。
そんな感情が顔に出たのか、彼女は小さく笑って

「ね。徹、恋愛映画好きじゃないんでしょう」なんていう。
「そんなことないよ」
何気ない風を装って普通に声を出したはずだけど
彼女はさっきより笑顔が大きくなって声まで出して笑いだした。

「無理しないでよ。つまらないって顔に書いてあるよ」
「いや。字幕を見ないで聞きとる勉強にもなるし・・・」
「何それ!恋愛映画なのに?」
あっはっはっは、と笑う彼女の手を引いて歩くと
こっちまで楽しい気分になる。

「あのさ。良いんだよ。志保の観たい映画で。
志保が楽しそうに映画の感想を言ってるのが好きなんだ。
映画はどのジャンルも、ものすごく好きって訳じゃないし」
「洋画サークルに入ったのに?」

いつの間にか笑うのを辞めた志保が俺の顔をじっと見ていた。

「変だと思うかもしれないけど・・・・
志保に出会うためにサークルに入った気がする」

冗談やからかうなんて気持ちは1ミリもなくて。
本気で思ったことを素直に言ったら。

「うん。私も徹に出会うために今ここにいる」

と、彼女はそう言った。

「それに。他のヤツと志保が映画に行くのなんか絶対いやだ」

12月にしては珍しく雨が降った後。
冷たい空気が澄んで、月がクリスマスの夜に輝いていた。

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