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サイドストーリー2
第14章 Christmas2014
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「『先生』」

クリスマスは12月なわけで。塾は冬期講習なわけで。
佐瀬先生と一緒にいられるということは、はなから諦めていた。

前日は祝日だけど、冬休みの受験生にそんなものも関係なくて。
23日も24日も朝の10時から夜の9時まで
塾はコンビニのように営業している。

なのでかろうじて休みの日曜日に会った時
プレゼントを渡した。

「はい。佐瀬先生。クリスマスプレゼント」

5年前、先生に手作りのお菓子なんかを用意していた子は
たくさんいたけど、誰のも受け取ってくれなくて。
「作ってる暇があったら勉強しろ」なんて怒られたんだっけ。

「あ?なに?当日会わないつもり?」
ムッと不機嫌になってそう言われても。

「だって、授業ありますよね?」
「あるけどさ・・・田島は?」
「私が受け持つ授業は中1だけなんで。クリスマスに授業は有りませんよ」
「・・・・・」
「会いたいんですか?」

なんてカマをかけてみれば
「わりぃかよ」
とふてくされる。

あんなに遠かった教壇の、さらに向こうにいた佐瀬先生。
今ではこんなに傍にいてくれるんだね。

「駅前の。コーヒーショップで待っています」
「え?」
「授業が終わるまで待っています」

そう言った私の顔を見て、
「マジで?いや。ごめんやっぱいいわ。
質問を受けてたら10時になっちまう」

なんて、苦笑いしながら言う。

「ふふ。待ってますよ」
「遅い時間に危ないだろうが」
「大丈夫です。それに―――」
「ん?」
「私が当日一緒に居たいんです」

そういって不意打ちのキスをした。

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