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第9章 アヒルの雛ー帝side－

「私は別に結婚…望んでません…」


ジーンズを穿き、シャツのボタンを留めていた俺の背中に杏が抱き付いて来る。


泣き声交じりの声で必死に訴えた。


「だったら何で泣いてる？」


「これは目にゴミ入っただけ…」


「わかったから…離せ…」

杏は俺の言葉に素直に従った。


鼻水を啜り、目に溜まった涙を手の甲で拭う姿が可愛く目に映った。


「味噌汁と卵焼きも捨てますか？」


「味噌汁は俺が何とかするし、卵焼きは食べるからテーブルに並べろ」