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第18章 甘い瞳―杏side－

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帝さんは真っ直ぐに私を自宅まで送迎してくれた。
「ありがとうございます」
「また…明日」
「はい」

資料室でのHが嘘だったかのような紳士的な彼の態度。

私は後ろ髪を引かれる想いで後部座席から降りる。
帝さんは軽く笑い、迎えに出て来たお母様に会釈してハンドルを切った。

私は走り去る車のテールランプを一途に見つめ、別れを惜しんだ。

また…明日オフィスで会えるけど。

帝さんはまた・・・私を求めてくれるのかしら？

｢足は大丈夫なの？歩ける？杏」
帝さんはお母様に私が仕事中に右足首をねん挫して早退したと説明した。



「大丈夫よ。高井田さんも大げさなんだから・・・」

「それならよかった。今夜はゆっくりと休みなさい」