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理想と偽装の向こう側
第6章 予測不可能
土曜日


早めに起きて、黎子と暢くん分にまた少し生地を多目に用意した。


なので、また生地を踏み踏みすることになる。


私は小田切さんの両手に支えられながら、生地を踏み続けた。


「おっ!香織ん、昨日よりいい感じ!コツを覚えたね!」


「そうですか~?笑わさないで下さい!」


お腹に力が入り過ぎると、バランスを崩しそうになるから、小田切のさんの手を強く握りしめてしまう。 


小田切さんは、私が上手く踏めるように動きをあわせて、バランスをとってくれてるのが分かる。


二人きりだからなんてことなく行われてる作業だが、端から見たらこの光景は、どんなもんなんだろうか? 


「ピンポ~ン」


インターフォンが鳴った。


黎子たちが来たんだ。


自分の家じゃないのに、妙な緊張感が走る。


「いらっしゃい!」


「お呼ばれします」


「お、お邪魔します!!」


黎子は長い髪をシャシュで一つに束ねて左肩に流し、緩めの大きい花柄のワンピース、いつものカッチリした服装とは違い、ちょっとフェミニンだ。 


何か、雰囲気違うな…。


「いらっしゃい!初めまして、小田切です。ようこそ!ゆっくりしていって下さい。」


小田切スマイルで二人を迎える。


「今日はお招きありがとうございます。北川と申します。これ良かったら後程みんなで。」


と、アルコール類とケーキを持ってきてくれた。 


しっかりハイネケンもある。 

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