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理想と偽装の向こう側
第7章 利用と束縛
それなら、あの広い部屋…納得だよね。


「けど、いくらお互い失恋した者同志でも偽装してまで同棲するのは何か…香織、サスペンス好きでしょ!考えなかったの?」


「余り…考えてなかった…」


疑問は沢山あったし、まだまだ出てくる。 


でも、それより小田切さんと過ごしてることが、楽しくてそんな考えを打ち消していた。


「だから最初に言ったでしょ。このままいったら、いつの間にかにアラフォーになるわよ!」


「…舐め合いだもん…」


「え?」


「目的は、ただの傷の舐め合いだもん!」


「はあ~」


黎子が大きなため息をついた。


「いいの?ただの舐め合いだけで?」


「いいのって…他に何があるのよ…。」


「小田切さんを欲しいと思わないの!」


「……はぁ!!!」


「このままだと、あんた絶対ハマるわよ」


「どうしたって、そっちにもっていきたいんだね。それに、流されろって言ったの黎子じゃん!」


「流される覚悟あるの!?」


「うっ!…正直今は分からない…。確かに小田切さんとは、居心地が良いけど、ただの現実逃避だし…嘉之のこと完璧に吹っ切れてないし…」


「失恋の痛みは、新しい恋じゃない」


「…なんか、黎子らしくないよ。そんな乙女なセリフ」


「腐女子に言われたくないわよ。」


「ぐぅっ!あっ…今日、暢くんバイト来ないのかな?」


「休みよ…メール来てたわ」


「…へぇ~」


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