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理想と偽装の向こう側
第8章 絶対服従
エレベーターからパノラマ並みに見える夜景は、大感動だった。


「凄い!綺麗だね~!」


嘉之そっちノケで、エレベーター内の手摺に掴まり見入ってしまう。


私の手の上に、嘉之の手が重なって耳元に顔を寄せてきた。


えっ…な、なに…!?


「嘘だろ…」


「え…」


「さっき香織の部所に確認したんだよ。井関さんが出て、直帰させたから会社に戻らないと言ってたよ…」


「!!!」


さっき電話してのは、私の職場だっんだ!


嘉之は基本的頭が働く…
勘も鋭いところがある。


「なんで嘘つくんだよ…」


「会社に戻るのは、私のかっ!んっ!」


私の勝手でしょ!


そう言う前に、嘉之の唇が私の唇に重ねられていた…。


離れようとしたが長身の嘉之にスッポリ包まってしまい、身動きが出来ない。


腰に回された腕も、びくともしない。


「んんっ!」


嘉之の手が私の頭を抱えて上向きにし、上から押し付ける様に深く口づけ舌が絡む。 


短い時間のはずなのに、やたら長く感じる。


「チーン!」


エレベーターが停まった…。


しかし…フロント階じゃない。


「来いよっ!!」
「嘉ゆ…っ!」


グイッと腕を引っ張られ、有無を言うことも出来ぬままに、エレベーターから連れ出されてしまった…。

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