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理想と偽装の向こう側
第8章 絶対服従
「じゃあ、明日に備えて早く寝ないとね!」


「はははっ!子供かよ!」


クシャッてなって、楽しそうに笑う嘉之…
何かいつもよりテンション高いな…。


メインデッシュも終わって時計を見ると、19時になる前だった。


よし!ちょっと遅くなったけど、今からダッシュすれば何とかなるかも。


「ご馳走様でした」
「どう致しまして」


嘉之が奢ってくれ、会計を済ませてエレベーターを待つ。


最上階に近いフロアだったからエレベーターから見える景色は、格別だろうな。


まあ、夜景も見れたし…
とりあえず帰れそうだし、良かった良かったと一安心。


「香織…」


「ん~なに~?」


すっかり気分が落ち着いて、オムシチューモードの私は気が弛んでいた。 


「まだ色々話したいんだけど、部屋で飲み直さない?」


え…っ!ヤバい流れになってきた、ここは穏便に流さないと、また厄介だ。


「あ…うん、また今度じゃダメかな…?今から一回、会社戻りたいし…」


「何で戻るの?」


「だって…私は今日昼から抜けてて…仕上げときたい仕事もあるから…」


半分嘘である…
急ぎは午前中に大体仕上げてきた。


でも、こうでも言わないと、解放して貰えない…。


「そっか…」


ほっ…断念してくれたみたいだ。


エレベーターがフロアに到着し、乗り込む。

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