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理想と偽装の向こう側
第9章 衝動と不安
《Il mio profumo》


家に着いて、以前趣味で買ったイタリア語辞書を開く…。


作品か出来た時に聞いたのは、
『我が芳香』。


何か高尚な感じがしたが、色のように香り例えたんだと思っていた。


あれ…?


『Il mio』我が、私の、自分の…俺の…。


『profumo』芳香…。 


匂い?香り…。


あっ…!


《俺の香り》


「う…そ…」


私は両手で自分の口を塞ぎ瞬間、眼から大粒の涙が流れ出した。


一気に記憶がフラッシュバックする。


受賞目指して、寝食削っていた姿。


二次会の後の思い詰めた顔。


やっとだ!
嬉しそうに、大きく息をついてたこと…。


今更のように、連絡先を交換したこと。


嘉之の一つ一つは、全部繋がっていたんだ!


不器用な彼の愛情表現…。


《俺の香織》


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