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理想と偽装の向こう側
第9章 衝動と不安
「嘉之…」


会いたい…
今すぐ、会いたくてしかたなかった。


時計は、21時になろうとする。


せめて声だけでも、聴きたい。


携帯を握った瞬間だった。


「チャッチャララ~!」


着信だ!


画面を見ると、嘉之からだった。


「も、もしもし!!」


『はは!声デケぇよ!』


「だ…だって…私も電話しようかと思ってたから」


『マジ!すげぇ~タイミング!香織、今から会える?』


「あ、会える!会える!」


『なんか、元気だなぁ。じゃあ、駅前で待ってるわぁ』


「分かった!」


私は急いで支度して、家を飛び出した。

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