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理想と偽装の向こう側
第10章 信頼と疑惑
一通り回り、自分の席に戻ると


「一段落したかい?」


「はい」


「ある意味渡辺さんは主役だからね。はい、飲んで。」


「ありがとうございます…私がですか?」


「そう…裏方だけど君が居ないと成り立たないだろう?この企画は」


笑いながら、梶さんはビールを注いでくれた。


「はは…なんか凄い嬉しい言葉です」 


「企画見たときから感じたよ。凄い愛情が隠ってるなって。内容にもインテリアにも作品にも…アーティストにもね…」


「え…!?」


「みんなには、内緒なの?彼でしょ」


そう言って肩越しに親指で、明らかに嘉之を指した。


「か、か、梶さん!」


「別に職権乱用とは思わないよ。良い才能があるなら世の中に伝えるべきたからね。チャンスが無くて埋もれてしまう才能は少なくない。」


「ありがとうございます…。」


ヤバイ…超カッコいいですよ、梶様…。


ここにマダムたちがいたら、みんな腰砕けですわ。

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