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理想と偽装の向こう側
第10章 信頼と疑惑
そう言って梶さんが、間に入って来た。 


「あっはい…すみません。」

「………」


御手洗いに入って行く梶さんに嘉之は、軽く視線を流す。


「とりあえず今は機嫌良く終わらせようよ。話は後で聞くから」


「…アイツだけじゃなく…会社でも、誰か仲いい奴いるんじゃね~の…。」


はぁ?いきなりなんのこっちゃ!


「急に何言ってんの?」


「ほら!慌てて、おかしくないか!」


「意味が、分かんないよ」


「知るかよ!」


出たな!知るかよ、が!!


「よし…」


「余り彼女の心を試す様なこと、するんじゃないよ。須永くん。」


梶さんの声が、静かに響いた。


「彼女が君を想う気持ちは、君が一番分かってるだろう…。」

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