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理想と偽装の向こう側
第10章 信頼と疑惑
「独占欲…私に?」


「香織の全部が自分に向いてないと嫌なんでしょうね…ふふふ頑張っね!嘉之ママ。」


「ママ~!?」


「思わない?子どもは、お母さんに自分の方を見ててもらいたいもんでしょう。兄弟がいても独り占めしたいと思ったり」


「でも…そうなると、やっぱり『自分のこと好きな人』って…嘉之だけを見てて嘉之を大好きな人ってことだよね…私じゃなくてもいいってことなんじゃないかな…」


「まあ…有りうるわね」


グッサリ!


「黎子…少しは大丈夫よ自信もってとか…ないの?」


「そんな甘ったれた言葉を私に期待してるの?」


「…してない…妄想してみただけだよ」


「無駄な妄想ね。それにしても元木のDNAを調べてみたいものね…ここまで利己的に行動できるなんて、どんな塩基配列してるのかしら。恋愛で悩む人のためにもサンプルになったら素晴らしいのに」


ウットリと語る。
黎子…マッドサイエンス化してるよ…。


話しは難しかったけど黎子と話すと、感傷的にはならずに済むから楽でいられる。


『どうして?』のループから早く、抜け出したいから…。

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