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理想と偽装の向こう側
第10章 信頼と疑惑
「ねぇ…ちゃんと話したいから、とりあえず座ろ…」


「…聞きたくねぇよ!」


一方的にキレてる嘉之にイラッときたが、それより手首が痛くて思考を麻痺させる。


「なに…私と梶さんが…何かあったと思ってんの?相手の会社の中だよ…」


「場所なんて、関係ないだろ…なんでアイツが香織を呼び止めるんだよ!」


あぁ…やっぱり元木さんから聞いたんだ…
何でも私に関わることは、彼女が把握してる範囲で伝えられていくんだろう。


この状態で、まともに話し合いなんか出来そうにない。


謝って折れるしかないけど、何も疑われるようなことはしていないとの妙な意地が、私を頑なにさせていた。 


それが気に食わなかったのか嘉之は私の足を払い、バランス失って床に倒れてしまった。


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